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重要事項説明書のグレーゾーン

毎度です

 

不動産営業出身 大阪・吹田市の

FP(ファイナンシャルプランナー)兼

司法書士 廣森良平です。

 

以前ブログで

取引物件が、以前、空き巣に入られた経緯があるという事を

宅建業法上、重要事項説明書に記載するのは

意見の分かれる所ですとお伝えしました。

 

しかし、あれから色々な判例を検索し、

興味深い高裁(下級審)の判例を見つけました。

 

大阪高裁平成16年12月2日判決では次のように判示してます。

(「 」の内容は面倒くさいと思われる方は飛ばして下さい)

 

「業法35条1項は、一定の重要な事項につき、宅建業者には説明義務を課しているが、宅建業者が説明義務を負うのは35条所定の事項に限定されるものではく、宅建業者は、購入希望者に重大な不利益をもたらすおそれがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼす事が予想される事項を認識している場合には、当該事項について説明義務を負うと解するのが相当である。」と判示してます。

つまり、簡単に言うと


買主様が

「空き巣に入られてるのであったら、その家を絶対に買わなかった!」と予想される事を宅建業者が知っていた時は、きちんと説明しなければならないという事です。

 

そして、上記判決には非常に大事な事が書かれています。

 

「35条所定の事項に限定されるものではない!」

 

と言っています。

 

 

つまり、35条所定のものでないから、書かなくてもいいというスタンスでは、不動産業者にとって、後々足元をすくわれる可能性があるという事です。

 

そこで、今回の取引物件が空き巣に入られた事に関して、

当てはめてみると、

 

購入希望者が新来の時から案内、契約に至るまで、

購入希望条件が奥様と子どもの安全とか防犯が気になる事を話していた時は、

積極的に空き巣があった事をお伝えし、

重要事項説明書に記載すべきであると思います。

 

仮に、このお客様から「空き巣に入られた事は?」

という積極的な質問が無かったからお答えしなかったという事では、

後で裁判になった時、

上記高裁判決を引用してきたら、宅建業者には分が悪いでしょう。

 

さらに、「重要事項説明書には記載しなかったが、空き巣に入られたという事は口頭で説明した」と言っても、

 

それは全く通用しません。

 

 

なぜなら、不動産取引に精通している方にとっては、

すでにお分かりであると思いますが、

書面に残していないと、

言った言わないの水掛け論になったら、

十中八九、業者側が負けてしまいます。

 

ところで、「意見が分かれる所です」とブログで書いたのは、

空き巣に入られた経緯を重要事項説明書に記載しなければいけないという

最高裁の判例がないという事です。

 

つまり、最高裁の判例がないという事は、下級審によっては、

判決が真っ二つに分かれる可能性があるという事です。

 

例えば、買主がそこまで、防犯上、安全性が気になるのであれば、

なぜ空き巣に入られた経緯を仲介業者や売主に聞かなかったのか?

なので、聞かない方に過失があるという判断が

下される可能性もあるからです。

(聞かれて、嘘を答えたらまずいですが・・・。)

 

なので、「入居後明らかにクレームになりそう・・・。」

と思われる内容は

重要事項説明書に記載する事が望ましいでしょう。

 

重要事項説明書は

売主様

買主様

宅建業者を守る盾みたいなものです。

 

 

確かに、売主・買主どちらかに偏った重要事項説明書は

円滑な不動産取引に弊害を及ぼします。

 

しかし、不動産取引は円滑さだけでなく、

公正さも保たれないといけません。

 

その判断は非常に難しい所ですが、

そこが、これからの中古物件を扱う宅建業者が

求められる課題であると私は確信しております。

 

なぜなら、国全体の政策としても、

これからは、フローからストックへとシフトしつつありますし、

最近、ホームインスペクションやエスクロー調査も

全国的に普及しつつあります。

 

なので、宅建業法を自分にとって、

都合のいいように拡大して解釈したり、

縮小して解釈したりする事は絶対に避けるべきでしょう。

 

私は、不動産営業出身のFP兼司法書士なので

不動産取引における説明責任や瑕疵担保について

これからも、どんどん深く掘り下げて行きます