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「傘立てをお店の「内」に置く?それとも「外」に置く?」

本日は、

ちょっと考えさせられる法律のお話をしていきます。

 

 

 

今回は

「場屋(じょうおく)営業者の責任(商法第596条)」

についてです。

 

 

 

1 場屋営業者の責任

 

 

 

(1)場屋とは

 

 

 

場屋とは具体例をあげると

「ホテル、飲食店、映画館、ゴルフ場のクラブハウス、コンビニなど」、

不特定多数のお客さんが出たり、入ったりするお店屋さん

(以下、場屋を「お店屋さん」と言う。)の事です。

 

 

 

そして、

商法第596条(旧594条)には、

以下のように、規定されています。

(面倒くさい人は読まなくても大丈夫です。)

 

 

 

商法第596条(場屋営業者の責任)

1 旅館、飲食店、浴場その他の客の来集を目的とする場屋における取引をすることを業とする者(以下 

この節において「場屋営業者」という。)は、客から寄託を受けた物品の滅失又は損傷については、不可抗力によるものであったことを証明しなければ、損害賠償の責任を免れることができない。

2 客が場屋の中に携帯した物品につき責任を負わない旨を表示したときであっても、場屋営業者は、前二項の責任を免れることができない。

 

 

 

つまり、お店屋さんは

「お客さんから預かったものを潰したり、失くしたりしたときは、

 原則、お客さんに対して弁償しなければならない」

ということです。

 

 

 

皆さんも、

「そんなの当たり前だ!」

という風に思うかもしれません。

 

 

 

しかし、

次にあげる例を見ると、

ちょっと考えさせられると思います。

 

 

 

 

(2)ゴルフ場の貴重品ロッカー

 

 

 

 

ゴルフ場に行くと、

貴重品を収納できる貴重品ロッカーがあります。

 

 

 

普通は、最初に、暗証番号を設定して

貴重品ロッカーに財布などを収納するのです。

 

 

 

つまり、

この段階でゴルフ場はお客さんから

貴重品を預かったことになり、

ゴルフ場は、その貴重品の保管について

責任を負う事になります。

 

 

 

そこで、

お客さんが貴重品を預ける際に、

ドロボウが暗証番号を盗み見して、

その貴重品をロッカーから盗み、

お金や銀行のキャッシュカードでお金を引き出したとします。

 

 

 

するとどうなるのか?

 

 

 

商法第596条により、

ゴルフ場側は、お客さんに対して

その損害を弁償しないといけません。

 

 

 

一方、

ゴルフ場が貴重品ロッカーからお客さんが見えやすいところに、

「貴重品の盗難等は一切責任を負いかねます。」

という張り紙をしていたとしたら

どうなるのでしょうか?

 

 

 

ここで、もう一度、

商法第596条第3項をみると、

以下のように、規定されています。

 

 

 

「客が場屋の中に携帯した物品につき責任を負わない旨を表示したときであ

っても、場屋営業者は、前二項の責任を免れることができない。」

 

 

 

つまり、この場合も、

ゴルフ場は責任を負うことになります。

 

 

 

ただ、

銀行のキャッシュカードと貴重品ロッカーの暗証番号が同じ場合、

お客様にも一定割合の落ち度があったということで、

責任の割合が分担されるのが裁判例です。

(ゴルフ場6割、お客様さん4割という裁判例があります)

 

 

 

なので、

皆さんもゴルフ場で貴重品を預ける場合の暗証番号は

絶対に、銀行のキャッシュカードと

同じ暗証番号にしてはいけません。

 

 

 

また、

生年月日や電話番号の下4桁も避けるべきです。

 

 

 

なぜなら、

ゴルフ場にチェックインするときに

生年月日や電話番号を見られる可能性もあり、

ドロボウに暗証番号を推測させるような情報を

与えてしまうからです。

 

 

 

 

(3)コンビニ等の傘立て

 

 

 

 

皆さんも、雨の日にコンビニ等の、

いわゆる一般的なお店に入る際、

傘立てがお店の「内」にあるのか、

「外」にあるのかをチェックしてみて下さい。

 

 

 

 

懸命な読者ならもうお分かりですよね。

 

 

 

 

そうです!

 

 

 

 

傘立てがお店の「内」にある時は、

「お客さんの傘をお店側が預かったということ」になり、

お店の「外」にある時は、

「お客さんの傘をコンビニが預かったことにならない」

ということになります。

 

 

 

 

つまり、

お店の「内」に傘立てを置いていた場合、

お客さんの傘が盗まれたら、

お店側は弁償しなければいけないことになります。

 

 

 

 

2 教訓

 

 

 

 

以上より、

お店を経営されている方は、

可能な限り、お店の「外」に傘立てを置くことをお勧めします。

 

 

 

 

また、商法第596条3項にもあるように、

「当社は紛失に関して、一切責任を負いかねます」

という張り紙をしたとしても、

少なからずの責任を負わされることもあるので、

お客様のものを預かったときは、

細心の注意が必要になると肝に銘じて下さい。

 

 

 

 

ちなみに、私の事務所は外にスペースがないので、

事務所の「内」に傘立てを置いています。(笑)