「運転免許証による本人確認」のお話
皆さん、こんにちは
本日は、「運転免許証による本人確認」のお話です。
さて、皆様も
金融機関や市役所で「免許証による本人確認」
をされたことがあると思います。
その際に、
その担当者がきちんと本人確認をしていると、
一般の方なら思うのですが、
我々プロは「そんな本人確認で大丈夫かな」
と思うことがしばしばです。
そこで、司法書士による
「運転免許証による本人確認」ミスに
関する裁判例をご紹介します
1 東京地裁平成20年11月27日判決
この裁判例を簡単に申し上げると、
「免許証を直に手に取らず、
パスケースに入った免許証を
パスケースから取り出す事なく本人確認をしたところ、
その免許証は偽造されたものだと言う事で、
本人確認のミスをした司法書士に過失が認められた」
という判例です。
そして、その判例では
「パスケースから取り出して、
外観や形状を確認していれば、
それが偽造であると発見出来た可能性は十分にある」
と裁判長が言っております。
さらに、恐ろしい事に、
司法書士には「億を超す賠償責任」が認められたとの事です。
(他人事ではありません)
2 免許証の偽造例
さて、ここで
免許証の偽造の手口を紹介したいと思います。
それは、
人の免許証の写真に違う顔写真を重ねあわせて、
ラミネート加工、パウチ加工する方法です。
(透明のプラスチック調の会員証等のカードを思い出して下さい)
ちなみに、
本物の免許証は写真部分に全く凹凸はありませんが、
ラミネート加工・パウチ加工の方法だと、
どうしても写真部分が微妙に浮くそうです。
(一度、皆さんも一度ご自身の免許証を
じっくりと手に取って確認してみて下さい)。
3 この判例から私が得た教訓
私は本人確認をする時はいつも、
右手の親指で写真部分を「サッ」となぞり、
そして左手に持ち替えて確認します。
しかしながら、
恐らく皆さんは、顔写真と照合する時に、
免許証の右側下の顔写真を見るため、
右利きの人でも無意識に、
免許証を左手の親指と人差し指で、つまんで
持っていると思います。
(右手の親指と人差し指で持つと写真が見えないため)
でも、これだと、
顔写真をラミネート加工された時の
写真の微妙な浮きが分りません。
4 その他、免許証について私が気を付けている点
- 免許証有効期限の法則
免許証には「有効期限」がありますが、
それには一定の法則があります。
それは、
誕生日の1ヶ月後の日付が有効期限になることです。
例えば、私の誕生日は9月10日なので、
私の免許証の有効期限は
「令和〇年10月10日」ということになります。
実は、
誕生日と有効期限が同じの偽造された免許証に気付かず、
司法書士が責任を負わされた裁判例があります。
- 免許取得地・免許再発行回数
12桁の免許証番号のうち、
最初の2ケタで初めて運転免許証の受けた都道府県が分かります。
例えば、大阪の方なら62、兵庫なら63です。
そして、最後の一桁の数字で
免許証の紛失や盗難による再発行の回数が分かります。
私は運転免許証の紛失・盗難の経験がありませんので、
0となっております。
ただし、本人しか知り得ない
免許取得地、免許再発行回数を確認する時は、
権利証書を紛失した方に、
権利証書の代わりとなる「本人確認情報」を作るときくらいです。
なぜなら、
偽造免許証による本人なりすましの詐欺師の
第一声のほとんどが、
「先生、権利証書紛失したのでどうにかなりませんか」
だからです。
ちなみに、不動産に関する詐欺師のことを
「地面師」と言います。