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家族信託における登記手続書類作成の苦労ばなし。その1

1.家族信託における登記手続の苦労ばなし。

 

 

 

 

私が経験した、

「家族信託における登記手続の苦労ばなし」を

本日はお話していきたいと思います

 

 

 

 

少し、一般の方では難しいかも知れません。

 

 

 

 

なので、

可能限り、分かりやすくお話することに努めます。

 

 

 

 

 

2.なぜ、登記手続書類作成で苦労したのか?

 

 

 

 

一言で言うと、

「家族信託に基づいて信託不動産の売買契約をしているが、

 もしかしてその契約は無効では

というような内容の不動産登記手続の依頼を受けたからです。

 

 

 

 

ちなみに、

無効の不動産売買契約の不動産登記手続をすると

司法書士としては失格であり、

お咎めが司法書士会から来ます。

 

 

 

 

しかしながら、私は

関係者全員から事情をヒアリングし、

他の色々な面を考慮した結果、

私は「これは登記手続をしても大丈夫」

という確証をえました。

 

 

 

 

ただ、

関係書類をみると

「どう見ても見た感じ無効な信託不動産売買契約」

なのです。

 

 

 

 

なので、それに基づく

不動産登記手続をどのようにすればいいのか?

 

 

 

 

はたまた、

登記手続をするための書類をどのように作成すればいいのか?

(専門用語で「登記原因証明情報」と言います)

 

 

 

 

本当に、

「胃に穴が開くくらい」、

悩みに悩んだ案件です。

(司法書士あるあるですwww)

 

 

 

以下に、詳細を述べていきます。

(事件を特定できないように、事例を少し変更しています)

 

 

 

 

3.家族信託契約開始から信託不動産売買契約までの時系列

 

 

 

 

平成29年 9月 1日委託者Aと受託者Bで家族信託契約

 

平成29年 9月15日受託者Bは家族信託の受託者を辞任

 

平成29年 9月15日受託者 一般社団法人甲(代表理事B)が新たに就任(受託者Bと代表理事Bは同一人物です)

 

平成29年10月 1日辞任した受託者BとCで信託不動産の売買契約

 

平成29年10月 5日上記の受託者辞任→新任の登記申請

 

平成29年10月15日上記の登記が完了

 

平成29年12月15日に信託不動産(少なくとも3憶以上の価値)の決済引渡

 

 

 

 

いかがですか?

 

 

 

 

ズバリ、気になる点は

権限のないBがCとで信託不動産の

売買契約をしている点です。

 

 

 

 

上記において、

平成29年9月15日に受託者Bは辞任、

同日、一般社団法人甲(代表理事B)が新たに

家族信託の受託者になっています。

 

 

 

 

つまり、

この家族信託における事例において

Cと信託不動産の売買契約をする権限は

一般社団法人甲にあります。

 

 

 

 

そして、

Bは既に受託者ではないから

Cと信託不動産の売買契約する権限がありません。

 

 

 

 

なのに、

権限のないBとCが売買契約を締結しているのです。

 

 

 

 

普通に考えたら、

無効の不動産売買契約です。

 

 

 

 

4.平成29年11月初旬頃に信託不動産決済依頼

 

 

 

 

上記が終了した時点(あとは登記手続だけ)で

私のところに所有権移転登記の依頼がきました。

 

 

 

 

登記事項や信託不動産売買契約書を見て

今までの経緯をもう一度分かりやすくいうと

以下のとおりです。

 

 

 

 

家族信託

受託者B辞任。同時に、一般社団法人甲(代表理事B)が新任

Bが権限ないのに不動産売買契約

登記の依頼

 

 

 

 

くどいようですが、

ここで、家族信託された不動産を

第三者の名義に変更する登記するうえで

司法書士としてすごく気になる点があります。

 

 

 

 

それは、

契約締結権限が無いBがCと

不動産売買契約をしている点です。

 

 

 

 

普通に考えると、

不動産売買契約は無かったことになります。

 

 

 

 

つまり、

無いことの登記は司法書士にはできません。

 

 

 

 

しかし、

買主はどうしてもその不動産を取得したいし、

売主はどうしても売買代金が欲しいのです。

 

 

 

 

さて、

どうしたもんなのか?

 

 

 

 

5.結局、どういう結論に至ったのか?

 

 

 

 

今回、家族信託の当事者である

委託者、旧受託者、受益者、受益者代理人

一般社団法人甲の社員や理事、代表理事、

そして、これらの税務や法務を見ている

税理士や弁護士から事情を聴取しました。

 

 

 

 

上記税理士や弁護士の言うこと

Bと一般社団法人の代表理事もBという

同一人であるという点等を総合的に考慮して

「今回の登記をしても問題ないであろう」

という確信を私自身が持てたからです。

 

 

 

 

つまり、

本当に当たり前の話ですが、

「その信託不動産の売買契約はきちんと存在する」

という確信を得たからです。

 

 

 

 

しかし、登記をするうえで、

「登記原因証明情報」をどのように作成すればいいのか?

真剣に悩みました。

 

 

 

 

なぜなら、

書面だけしか見なかったら、

ない不動産売買契約です。

 

 

 

 

少し長くなるので、続きは次回・・・。

 

 

 

これは知っておいて欲しい記事です。是非お読みください。