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過払請求
過払請求で「取引の分断」や「一連一体計算」って、何?
毎度です
不動産営業出身 大阪・吹田市の
FP(ファイナンシャルプランナー)兼
司法書士 廣森良平です。
昨日の過払請求訴訟の件の続き・・・。
現在、過払請求訴訟は実務が確立し、
手間いらずのお手軽な訴訟です。
こう言うと
司法書士から怒られそうですが 、
特に私が優秀というわけでもなく、
昭和30年代から過払訴訟について
最高裁判所まで争った、
先人の知恵と叡智の結集が、
今の過払訴訟の判例法理なのです。
ちょっと、難しくかいちゃいましたが、
簡単に言うと、
多くの弁護士さんが遠い昔から、
お金を借入する側に立った裁判での勝ちの積み上げで、
今の実務がやり易くなったという事です。
さて、
簡単簡単と言い切ってますが、
実は、いまだに難しい論点もあります。
それは、取引の分断と言ったり、
一連一体計算するか否かという
論点です。
何なん?それ?
と思うかも知れませんので、
以下簡単にご説明します。
解り易いように、過払い金はマイナス(-)表示してます。
例えば、
日付 借入額 返済額 借金残高 過払額
①H18.10.31 20,000円 0円 -480,000円
②H18.11.30 20,000円 0円 -500,000円
③H18.12.10 90,000円 0円 -590,000円
①のH18.10.31に20,000円を返済した時点で
過払い金が480,000円存在します。
②のH18.11.30に20,000円を返済した時点で
過払い金が500,000円となります。
つまり、実際は利息制限法に引き直し計算をすると、
借金残高なんてないし、
むしろ相手にお金がプールしているような状態です。
なので、②の時点で480,000円をプール(過払い金残高)した状態で
20,000円をプールした事になり、
過払い金残高が500,000円となります。
次に、③の時点で90,000円を支払いし
完済したとします。
すると、同じような考えで③の時点でプールした500,000円
に90,000円がさらにプールされるから
590,000円の過払金になるのです。
ここまではお分かりですか?
さて、皆さん!
完済したとはいえ、
人間って、またお金が必要な時って、
どうしてもありますよね!?
その時に、
また、上の時系列を引用すると、
日付 借入額 返済額 借金残高 過払額
①H18.10.31 20,000円 0円 -480,000円
②H18.11.30 20,000円 0円 -500,000円
③H18.12.10 90,000円 0円 -590,000円(完済)
④H21.12.15 500,000円(新規借入) 0円 -90,000円
⑤H22.1.31 20,000円 0円 -110,000円
④の約3年後に500,000円借りた事により、
過払額は90,000円になる事はお分かりでしょうか?
簡単に言うと、貯金していた590,000円のうち、
500,000円おろしたのと考えは一緒ですよね!?
そして、次に20,000円をプールするから
過払い額は110,000円となるわけです。
この考えを実務上
「一連一体」とか「一連計算」などと
言います。
この考えこそが、
過払い請求する側にとって
得な考え なのです。
しかし、
消費者金融はコチラ側(過払請求する側)の考えに
素直に従うものではありません。
つまり、
③の完済した時と
④の借入れした時に、
一連計算を認めないという事です。
実務上、
取引の分断と言います。
再度、
上記時系列を引用します。
なお、利息や元金の充当額は便宜上、わかりやすい数字にしております。
日付 借入額 返済額 借金残高 過払額
①H18.10.31 20,000円 0円 -480,000円
②H18.11.30 20,000円 0円 -500,000円
③H18.12.10 90,000円 0円 -590,000円
④H21.12.15 500,000円 500,000円 0円
⑤H21.12.31 20,000円 487,000円 0円
というように、
③の時点の過払いは見認めるけど、
④から新たな借入をしてるのだから、
⑤の時点で過払い請求する人には
487,000円の借金があるやないの!
だから、借金残高487,000円から
うちが払うべき過払い金が590,000円なので、
それを相殺して、過払い金を590,000円-487,000円より、
103,000円の過払い金なら支払うわ!
という事になります。
よって、
以上をまとめると、
一連計算なら⑨の時点で190,000円の過払い
日付 借入額 返済額 借金残高 過払額
①H18.10.31 20,000円 0円 -480,000円
②H18.11.30 20,000円 0円 -500,000円
③H18.12.10 90,000円 0円 -590,000円
④H21.12.15 500,000円 0円 -90,000円
⑤H21.12.31 20,000円 0円 -110,000円
⑥H22.1.31 20,000円 0円 -130,000円
⑦H22.2.28 20,000円 0円 -150,000円
⑧H22.3.31 20,000円 0円 -170,000円
⑨H22.4.30 20,000円 0円 -190,000円
一連でなく、
取引が分断されると⑨の時点で、
日付 借入額 返済額 借金残高 過払額
①H18.10.31 20,000円 0円 -480,000円
②H18.11.30 20,000円 0円 -500,000円
③H18.12.10 90,000円 0円 -590,000円
④H21.12.15 500,000円 500,000円 0円
⑤H21.12.31 20,000円 487,000円 0円
⑥H22.1.31 20,000円 474,000円 0円
⑦H22.2.28 20,000円 461,000円 0円
⑧H22.3.31 20,000円 448,000円 0円
⑨H22.4.30 20,000円 435,000円 0円
435,000円-590,000円=-65,000円の過払いとなります。
メチャメチャ大きくありませんか?
これを、2年位続けると、
一連計算なら40万以上の過払金になります。
なので、
消費者金融会社はこぞって、
一連計算を否定し、
取引の分断を主張して来ます。
それは、もう社運賭けて、
鬼の様に争ってきます !
次回は過払金請求で
一連が認められやすいケースや
認められないケースをお伝えします。
以上
不動産法務・不動産実務・不動産登記に特化した
不動産業界出身司法書士兼
ファイナンシャルプランナー(FP)の廣森でした。