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成年後見制度を回避する方法 その2 ~プロだから話せる裏話~

前回は、成年後見制度に関して「優等生」の回答のお話をしました。

本日は、実務のすき間、限界事例を知り尽くした、

この業界に携わって20年超の「優等生でない?!」私の回答をお話していきます。

なお、以下の登場人物において、

判断力の無い人を「本人」、

その子どもを「子」

としておきます。

1 本人の判断力がすでに無い場合

その1 施設の入所契約

判断力の無い人が施設の入所契約をすると基本的には無効になります。

しかし、入所契約を無効にしたいという思惑のある関係者は

果たして存在するのでしょうか。

確かに、前回お話した不動産の売買契約であれば、

同契約を無効にして、改めて条件の良い契約をするといった点で、

同契約の無効を主張する実益があるといえます。

しかし、施設の入所契約にいたっては、

施設側も本人に入所して頂き、施設利用料を頂くことで利益が発生します。

また、入所する本人及び子側も、

毎月の施設利用料さえ支払えば、

本人が安心して生活を送ることが出来、

本人のみならず子も専ら実益しかなく、

不利益なんてものは観念出来ないといえます。

よって、実務では、

施設の入所契約を本人の子が代筆してすることが通例となっております。

ここで、

子の代筆でも大丈夫だと言えるための法律構成をお話すると

本が一冊位かけるので、割愛しますが、

一言で言うと、「黙示的(暗黙の了解みたいなもの)に、

 本人が元気なうちに入所契約を子どもが代理で契約する話が存在した」

と私は解釈しています。

なお、前記解釈は私独自の法律解釈であり、完全解ではありません。

しかし、

私が実務で問題になったこと、その様な噂は

今まで一度も聞いた事はありません。

その2 キャッシュカードを管理

キャッシュカードも子が暗証番号を把握し、

本人のためにきちんと入出金の管理さえすれば、

私は一切の問題は無いと解釈しております。

確かに、自分以外のキャッシュカードでお金を引き出す事に関して抵抗を感じ、

刑事事件上の「窃盗罪に当たるのでは?!」と

不安を覚えるのではないかと思います。

しかし、窃盗罪も

「不法領得の意思」(簡単に言うと、自分のものにしようと思うこと)

が無いと成立しません。

また、民事上も

前記1の(1)でお話した黙示的な承諾があったといえるので、

私は特に問題が無いと解釈致します。

その3 自宅不動産の売買契約と定期預金解約

上記に至っては、もはや成年後見制度を利用しないといけません。

そこで、成年後見制度を利用しなくて済む方法を後述します。

2 本人の判断力がギリギリある場合

その1 定期預金を解約し、普通預金にしておく。

上記のようにしておけば、

前記1の(2)と同じ結論になるので、安心です。

また、キャッシュカードの紛失もしくは破損に備えて

ネットバンキングの利用もできるようにすれば万全でしょう。

その2 自宅不動産の売買契約

今はまだ現金に余裕があるが、

将来自宅不動産を売却しないと、資金がショートする可能性があるのであれば、

「家族信託」一択です。

「家族信託」を利用すれば、

将来本人の判断力が無くなっても、

成年後見制度を利用せずに自宅不動産を売却することが出来ます。

3 最後に

リテラシーの高い賢い子は、

自分自身の老後のために今から万全の準備をします。

しかし、老後を迎えた親の更に老後

(例えば、まだまだ元気だった親が認知症になり介護が必要になるタイミング)

の準備を、世間的にリテラシーの高い賢い子ですら、

あまりしていないように思えます。

子が親の老後の更に老後のために、たくさんお金を使ったとして、

親の相続の時に揉める事例を、私は頻繁に目の当たりにします。

その様なことにならないための手助けする仕事が、

司法書士兼家族信託専門士たる私の仕事であり、

私の使命なのです。

これは知っておいて欲しい記事です。是非お読みください。