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家族信託において、受託者を二人以上にすることは可能か?

1.家族信託において、受託者を二人以上(複数人)にすることは可能か?

 

 

 

 

結論から言うと、ズバリ

「可能」

です

 

 

 

 

信託法においても、

信託法第6節 第79条から第87条に

規定されております。

 

 

 

 

なお、

二人で受託者になると、

信託財産は「合有(ごうゆう)」ということになります。

(信託法第79条)

 

 

 

 

ちなみに、

「合有」という概念のほかに

「共有(きょうゆう)」

という概念があります。

 

 

 

 

実は、

こちらの「共有」が一般的です。

 

 

 

 

例えば、

不動産を二人でお金を半分づつ出し合って購入すると、

それぞれが「共有」状態となり、

それぞれが、持分2分の1という

概念になります。

 

 

 

 

そして、

この持分の全部、一部

他人に売ったり、

あげたりすることができます。

 

 

 

 

理由は、「持分」とは

「所有権」

だからです。

(所有権とはなんでも自由にできる。)

 

 

 

 

しかし、

「合有」はこの持分割合がありません。

 

 

 

 

仮に、「持分」にしてしまうと、

信託財産の「持分」をだれかに売ったり、

あげたりできるようになってしまいます。

 

 

 

 

そこで、

家族信託でそうしてしまうと、どうなるのか?

 

 

 

 

法律関係が複雑になってしまいます。

 

 

 

 

なので、

信託財産は「合有」というのは、

改正前の信託法から現在の信託法にも受け継がれており

バージョンアップされております。

 

 

 

 

2.受託者が二人以上のときの信託事務の処理は?

 

 

 

 

 

受託者が二人以上の時の信託事務の処理については、

受託者の過半数をもって決定します。

 

 

 

 

そこで、

受託者が3人だとどなるのか?

 

 

 

 

3人の過半数となると

2人の意見が一致しないと

事務処理が出来ないことになります。

 

 

 

 

では、

受託者が2人時はどうなるのか?

 

 

 

 

2人の過半数となると、

半分の1人を超えないとだめなので、

結局2人の意見が一致しないと

信託財産の事務処理が出来ないことになります。

 

 

 

 

となると、

家族信託の持ち味である、

受託者に裁量をもたせ、

信託財産の円滑な管理運用、処分が

出来なくなるということになります。

 

 

 

 

つまり、

「家族信託のメリットが半分以上失われる」

ということになります。

 

 

 

 

また、

受託者が2名以上の場合は、

金融機関で信託口口座の開設を

お断りされる可能性があります。

 

 

 

 

3.どうして二人以上にしたいのですか?

 

 

 

 

私を含め、

家族信託に詳しい司法書士は、

「受託者は1名」

というスタンスをもっています。

 

 

 

 

理由は、先ほど述べた、

家族信託のメリットを最大限に生かすためです。

 

 

 

 

さて、依頼者の方から

「受託者を私と弟の二人でしたい。」

もしくは

「受託者を私と弟の二名にしたほうがいいのか?」

という意見はよく出てきます。

 

 

 

 

ここで、頭ごなしに

「いやいや受託者は絶対に1名にして下さい

という司法書士はまだまだ半人前だということです。

 

 

 

 

ここで、

「どうして二人以上でにしたいのですか?」

「二人にしたい理由があるのですか?」

という質問をする司法書士は

デキる司法書士です。

 

 

 

 

なぜなら、

「依頼者の方の想いに寄りそう」

とする気持ちの表れだからです。

 

 

 

 

4.よくある質問の回答 その1

 

 

 

 

私の依頼者の方の回答は大体

「私(長男)と弟の二人でなんでも協働で決めたほうが、

 公正だと思ったからです」

という理由です。

 

 

 

 

一方で、私の依頼者で

以下の回答をした人は一人もいません。

 

 

 

 

「私(長男)と弟がお互いに監視して

 お互いに不正をしないためです」

という回答です。

 

 

 

 

この違いは皆さん、お分かりですかね~。

 

 

 

 

前者は、公正さであったり、

互いの信頼であったり、

「長男の弟に対する気づかい」

を見て取ることが出来ます。

 

 

 

 

しかし、

後者は、不正の監視ということで、

「互いに疑惑をかかえあってる」

ということになります。

 

 

 

 

実際、

後者の場合については

家族信託は馴染まない事例だと思われます。

(出来ないことではない。)

 

 

 

 

5.よくある質問の回答 その2

 

 

 

 

「お互いの監視とかではなく、

 やはり、弟と協働で親や家族のことを決めたい。」

というものです。

 

 

 

 

つまり、

兄が独善的に決めるのではなく、

「弟と話しあって、その話し合った過程を大事にしたい」

という思惑があるときです。

 

 

 

 

なので、

こういう場合は、受託者を二人にするのではなく、

弟を信託監督人や受益者代理人にするという方法が

適している場合が多いです。

 

 

 

 

こうすることによって、

家族信託のメリットを最大限に生かしつつ、

みんなとの話し合いを大事にして

受託者の円滑、円満、公正な

信託事務処理が実現することになります。

 

 

 

 

 

 

これは知っておいて欲しい記事です。是非お読みください。