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家族信託における信託目録の変更登記  ~少し違和感を感じるところ~

1.家族信託における信託目録の変更登記  

家族信託の契約を締結し、

時代の流れにおいて

家族信託契約変更の必要性が

生じる場合があります。

理由としては、

政令・省令の改正に伴い、

技術的な内容の変更や

関係者の色々な状況等を考慮した場合などが

考えられます。

そこで、

家族信託契約を変更して、

信託目録を変更する時は、

「信託目録の変更登記申請が必要」

となります。

例えば、

委託者の地位の相続について、

家族信託の契約内容を変更し、

さらに、信託目録を変更するとします。

そこで、以下のように変更するとします。

(旧)「委託者の地位は相続により承継しない。

   

 ↓ ↓ ↓ ↓ 上記を以下のように変更 ↓ ↓ ↓ ↓

(新)「委託者の地位は相続により承継せず、委託者の死亡によりその地位は受益者へ移転し、当初委託者の権利は消滅する。」

さて、

以上のように変更するには、

一体、どんな書類が必要なのか?

それについて、解説していきます。

2.信託目録変更の際の必要な「登記原因証明情報」

登記原因証明情報とは、

読んで字のごとく、

「登記の原因が書いている書類」

と思って下さい。

(ほんとにそのままです)

そして、

登記原因証明情報は、

以下の深緑の字の部分となります。

(一般の方は「捺印」という赤字部分だけ見て下さい)

              登記原因証明情報

1 登記申請情報の要項 

(1)登記の目的       信託条項変更

(2)登記の原因       令和2年△△月△△日 変更

(3)変更後の事項     別紙「信託目録に記録すべき情報」のとおり

(4)申 請 人       大阪府吹田市広芝町9番12号

                (受託者)山田一郎

(5)不動産及び信託目録の表示

           

          平成〇〇年〇〇月〇〇日信託目録第〇〇号

2 登記の原因となる事実又は法律行為

(1)信託契約の締結

受託者 山田一郎 (以下「甲」という。)と委託者 山田父朗(以下「乙」という。)は、平成〇〇年〇〇月〇〇日、受益者を乙とする不動産管理処分信託契約を締結し、登記を経由した(平成〇〇年〇〇月〇〇日受付第号)

(2)信託条項の変更

甲と乙は、本件不動産につき、前記(1)の不動産管理処分信託契約に定めるところにより、受託者甲と委託者兼受益者乙の合意により、令和2年△△月△△日別紙のとおり、その他の信託条項第8項を変更した。

令和2年△△月△△日 大阪法務局 御中

 上記の登記原因のとおり相違ありません。    

(受託者)    (住所)大阪府吹田市広芝町9番12号

         (氏名)   署名         「認印」 

(委託者兼受益者)(住所)大阪市中央区

         (氏名)   署名          「認印」

           信託目録に記録すべき情報

登記の目的   信託条項変更

登記の原因   令和2年△△月△△日 変更

[変更後の信託条項]

信託条項

4 その他の信託条項

8 委託者の地位は相続により承継せず、委託者の死亡によりその地位は受益者へ移転し、当初委託者の権利は消滅する。

不動産及び信託目録の表示     

 平成〇〇年〇〇月〇〇日信託目録第〇〇号

以上が登記原因証明情報です。

ここで、皆さん、少し違和感感じませんか?

そうです!

「委託者兼受益者の捺印が認印で大丈夫」

ということなのです。

つまり、

実印を捺印する必要がないので、

印鑑証明書も不要となります。

この信託条項の変更は、

信託が終了した時に、

財産が帰属する人にはお得な変更です。

なので、

特に受託者や委託者や受益者に

不都合や不利益は生じません。

しかし、

信託の目的

信託財産の管理方法、

信託の終了自由を

変更する時も、委託者兼受益者の

「実印や印鑑証明書も不要」

だという点です。

以上、どういうことなのか?

それは、つまり、

受託者や赤の他人が

委託者兼受益者の三文判を買ってきて

信託の目的、信託財産の管理方法、信託の終了事由を

勝手に変更できるということです。

普通は印鑑証明書や実印を要求することで、

変更する際の利害が絡む人の

「意思を確認」することが、

不動産登記法上の求められています。

しかし、この場合要らないのです!

ちなみに、

信託の目的、

信託財産の管理方法、

信託の終了自由は、

「家族信託の根幹をなす条項」

です。

その根幹部分を変更するのに、

委託者兼受益者の実印と印鑑証明書がなくても

変更できるということに

私は少し違和感を感じます。

以上、

家族信託の根幹部分を

簡単に変更できることを鑑みると、

やはり、受託者になれる人は

「経済的、人間的、精神的に素晴らしい人しかなれない」

のかもしれません。

参考記事として、

受託者は人格者というテーマのブログを読んでみて下さい。

          ↓ ↓ ↓ ↓  ↓ ↓ ↓ ↓

【家族信託の使い込み】受託者の使い込みが心配です。防止する方法はあるのですか?

これは知っておいて欲しい記事です。是非お読みください。