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相続・遺言
共有不動産の共有者のうち1名に相続が開始し、相続人不存在の時の手続は?!
1.共有不動産の共有者のうち1名に相続が開始し、相続人不存在の手続は?!
さて、
以下のような相談をうけました。
ABC3名の共有不動産があり、(各々3分の1)
そのうちCさんがお亡くなりになりました。
そして、
そのCさんには相続人がいません。
つまり、
第一順位の子どもがおらず、
第二順位の直系尊属(両親等)もすでに死亡しており、
第三順位の兄弟姉妹もいません。
となると、どうなるのか?
相続人がいないことになり、
相続人不存在の手続となります。
2.相続人不存在の時の相続手続の流れ
まずは、
①相続財産法人となり、
財産が管理・清算手続きにはいります。
そして、
②相続財産管理人が選任され、
相続債権者と受遺者に公告します。
さらに、
③特別縁故者が家庭裁判所に
相続財産の一部または全部が欲しいという
請求の申立をします。
3.相続人も特別縁故者もいないとどうなるのか?
本件事例では、
共有不動産なので、
民法第255条で処理します。
民法第255条【持分の放棄及び共有者の死亡】
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がいないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
つまり、
Cの持分がAとBに振り分けられます。
なので、
ABが各々持分2分の1づつを
共有することになります。
イメージとしては、
箱の中に3つの同じ大きさの風船があり、
そのうちの一つが割れたと想像してみて下さい。
風船が一つ割れるまでは
3つの風船が箱の中でギュウギュウ詰めでしたが、
一つ割れると2つの風船が少し大きくなり、
二つの風船でギュウギュウ詰めになるような感じです。
4.税法の処理はどうなるのか?
本件で仮にCさんに相続人がいれば
相続税の問題として処理されます。
しかし、
本件ではCさんには
相続人はいません。
するとどなるのか?
ABに遺贈したものとして扱われ、
相続税の課税対象になります。
そこで、
「新訂第六版 法律家のための税法 民法編(東京弁護士会編著)」の47、48ページを引用します。(『 』部分が引用部分)
『持分取得の原因は遺贈によるものとして取り扱われ、相続税の課税対象になるものとされている(相基通9-12)。この相続税法第9条を根拠とする実務の取り扱いについては、批判がある。相続人不存在による共有持ち分の取得を遺贈として取り扱うのは課税庁の独自の見解であって、法律の根拠を有しないとの批判である。この批判者は、共有持ち分の取得を一時取得と考えるべきとしている(遺失物拾得に関する所基通34-1(11)の類推)。共有者の死亡という意思の介在しない場合の取り扱いとして正当な批判と考える。』
仮に、
今回Cさんが死亡せず、
民法255条における
「持分放棄」
ならどうなるのか?
『ABには無償の資産の移転があったものして、
取得者の持分の取得は
贈与によるものとみなされます。
(相税9、相規通9-12)』
4.私のバイブル
今回、引用した
「新訂第六版 法律家のための税法 民法編(東京弁護士会編著)」
は私のバイブルです。
↓ ↓ ↓ ↓私のバイブルです↓ ↓ ↓ ↓
司法書士は民法という実体法から
不動産登記法という手続法へと
頭で考えるクセがあります。
この「実体法→手続法」
という思考回路が
司法書士試験合格及び司法書士実務に
必要な能力であるのは確かです。
さて、
そこからさらに一歩踏み込んで、
「実体法→手続法→税法」
までカバーするには、
この書籍は最適なのです。
おススメ度→A