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【家族信託(民事信託)の必要のない】場合 

【認知症対策と言えば家族信託】

【相続対策と言えば家族信託】

ということを大々的に宣伝している

司法書士や弁護士のHPが

多いとような気がします。

 

 

 

一方で、

【家族信託の必要のない】場合

というテーマを取り上げているHPは

少ないとも言えます。

 

 

 

本日は、

【家族信託がの必要のない】場合

という内容をお話していきたいと思います。

 

 

なお、前提として

80歳の父親

財産を安心して預けておくことのできる

信頼のおける長男という図式

(以下「この図式」という)で話をしていきます。

 

 

 

1.財産に不動産がなく現金だけ

 

 

 

父親の財産が現金だけの場合は、

長男を受託者として家族信託をする必要性は

乏しいと言えます。

 

 

 

理由は、

普通預金のキャッシュカードを

信頼できる長男に預けておけばいいだけの話です。

 

 

 

つまり、

長男が父親の施設に支払う費用や生活費等を

キャシュカードで出金し、

直接父親に給付すればいいだけの話となります。

 

 

 

ここで、たとえ父親の生活費のためとはいえ、

「父親のキャッシュカードを長男が出金することって違法では

という質問を受けます。

 

 

 

一見、ダメなように思えますが

結論から言うと問題ありません。

 

 

 

ここで、

その理由を述べると長々となるので、差し控えますが、

これは、民法上及び刑法上問題ありません。

 

 

 

なので、

きちんと管理しているのであれば

特に問題は無いと思って頂いて結構です。

 

 

 

ただ、

親のキャッシュカードを使って、

自分のためにお金を引き出して使ってしまったら

アウトです。

 

 

 

以上、

要はキャッシュカードをきちんと管理し、

きちんと出金すれば大丈夫だとお伝えしましたが、

リスクが全く無いとは言いきれないのも事実です。

 

 

 

そこで、

そのリスクについて、以下のとおりお話していきます。

 

 

 

その1 キャッシュカードの磁気がダメになってしまった場合

 

 

 

キャシュカードの磁気が

「なんらかの物理的な力でダメになる可能性」

があります。

 

 

 

ダメになるともはや再発行しかありません。

 

 

 

しかしながら、

再発行となると認知症の父親がその手続をするには

少し無理があるといえます。

 

 

 

そうなると、

成年後見人を立てるしか方法がありません。

 

 

 

なので、

キャッシュカードは数行に分散して

一つがダメになっても他のキャッシュカードがあるなら

リスクを分散できるといえます。

 

 

 

その2 他の兄弟が銀行に密告したとき

 

 

 

父親からすると安心できる長男であり、

長男も誠実で親の面倒をきちんとみている

人格者であったとします。

 

 

 

しかし、

それをよく思わない兄弟はなかにはいるものです。

 

 

 

例えば、弟が

「兄ちゃん、自分のために父親のお金使ってるのでは

とあらぬ疑いをかけることって、

よくある話です。

 

 

 

そこで、弟が金融機関に

「父親は認知症なので口座を凍結してください」

と密告するケースもありえそうです。

(実際、たまにあります

 

 

 

また、

兄弟の仲がいいといっても、

やはり弟が疑ってしまうのも人情だといえます。

 

 

 

なので、

兄弟が複数いる場合は財産が現金だけでも

家族信託をするのがベターとも言えます。

 

 

 

2.不動産を売って老後の生活費を捻出する必要がない位現金がある

 

 

 

父親の老後の生活費、施設入所費用を捻出のため

自宅不動産を売却しなければならない場合、

父親が認知症になると自宅不動産を

売却することが出来ません。

 

 

 

そこで、その不都合を解消できるのが、

ズバリ家族信託です。

 

 

 

なので、

潤沢に現金があり、

自宅不動産を売る必要性が乏しい場合は、

必然的に家族信託を利用する必要性も乏しいといえるでしょう。

 

 

 

3.私が相談を受けた事例

 

 

 

数ヶ月前、「家族信託をしたい」とのことで

私の事務所に相談に来られた方の話です。

 

 

 

その方はこんな感じの方です。

 

 

 

ⅰ)父親と長男の二人だけ

ⅱ)父親名義の自宅不動産を売却したばかりで潤沢に現金がある

ⅲ)父親も物忘れはあるが、まだ意思ははっきりしている

ⅳ)父親は唯一の肉親である長男を頼りにしている。

ⅴ)長男は人格的、社会的、経済的にも本当に申し分のない方

ⅵ)長男が父親のキャッシュカードを預かり管理している

以上です。

 

 

 

さて、皆さんにここで質問です。

 

 

 

上記ⅰ)~ⅵ)の親子がいたとして、

父親の認知症対策、相続対策として

家族信託の必要性があるのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうお分かりですよね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家族信託をする必要性はほとんどありません。

 

 

 

なぜなら、

不動産は無いですし、

現金は潤沢にあるし、

仮に父親が亡くなり相続が始まっても、

相続人は長男だけです。

 

 

 

現在→認知症→相続発生という流れにおいて、

揉める要素なんて一つもありませんよね~。

 

 

 

さらに、

認知症になったとしても上記事例では、

成年後見人を選ぶ必要もありません。

 

 

 

なので、

その相談者の方には、

キャシュカードの磁気がダメになるリスク回避だけをお伝えし、

ご納得されて私の事務所を後にされました。

 

 

 

4.総括

 

 

 

基本的に、不動産を売る必要性のない方は

家族信託をする必要性に乏しいといえそうですが、

父親の財産が現金だけの場合、

家族信託を締結した方がベターな場合もありますので、

お気軽にご相談下さい。

 

 

これは知っておいて欲しい記事です。是非お読みください。