ブログ
カテゴリー
相続・遺言事業承継
意外と皆さん知らない自社株相続における準共有?!
皆さん、こんにちは。
さて、今回は
自社株に相続が発生した時における
「株式の準共有」についてお話します。
1 不動産を数名の相続人で相続すると
不動産をお持ちの人が死亡すると、
相続人全員が
相続する割合で
不動産を持ち合うことになります。
この時、各相続人は
共有者として、
その相続した不動産を
相続人全員で持分を持ち、共有することになります。
例えば、
亡くなられた方の相続人が子供3人だとすると
子供たちは、各々3分の1の法定相続分があるので、
その持分割合で共有することになります。
つまり、子どもたちは、
相続した不動産について、
各々3分の1の権利を持つという事になります。
2 株式を数名の相続人で相続すると
自社株式をお持ちの会社のオーナーが
死亡するとどうなるのでしょうか?
上記1のとおり、
各相続人は
相続した自社株式について、
各々3分の1の権利を持つことになるのでしょうか?
そこで、以下のような事例をあげます。
・オーナー兼代表取締役 父 持ち株数 60株(持ち株比率60%)
・後継者兼取締役 長男 持ち株数 40株(持ち株比率40%)
・取締役 二男及び三男 持ち株数 なし (持ち株比率0%)
- (1)よくある勘違い
ここで、よくある間違いは、
長男、二男、三男で父の60株を
法定相続分である3分の1の割合で
各々株式を相続するということです。
つまり、長男が20株相続し、
結果的に持ち株数が60株、
二男及び三男の持ち株数が20株になる
という勘違いです。
- (2)株式の準共有
では、どうなるのかというと、
この場合は父の持ち株数60株を
3人で準共有することになります。
なので、60株に法定相続分の割合3分の1を掛けた
20株を各々相続することにはならないということになります。
- (3)株式の準共有の際に会社法上すべきこと
株式を準共有することになると、
会社に対して、準共有者のうち
「誰が会社の株主総会において議決権を行使するのか」
を決めなければなりません(会社法106条)。
そこで、この議決権を行使する人をどの様に決めるかというと、
準共有者3名の過半数の賛成で決めることになるのです。
(最高裁平成9年1月28日判例)
- (4)上記事例での考えられるリスク
そこで、上記事例において
二男と三男が結託して二男を議決権行使する人に決めると、
「二男が準共有している株式60株全部の議決権を行使」
することが出来ます。
そうすると、株主総会において
二男の取り巻きの人間を取締役に選んで、
二男を代表取締役にすることが出来ます。
さらに、取締役には任期があり、任期が満了すると
大体は、取締役を株主総会で再任続投させますが、
二男が株主総会において、
「長男の取締役再任の議案」について反対すれば、
40株の議決権を持つ長男が賛成したとしても、
過半数に届かないので(取締役の選任は議決権の過半数が必要)、
長男は取締役に再任されず、
会社から締め出しを食らいます。
つまり、二男と三男から
「相続クーデター」を起こされるリスクがあるのです。
3 対策
では、「相続クーデター」を防ぐには、
どうすればいいのか?
それは、
自社株式のオーナーに遺言を書いてもらって、
自社株の相続人をきちんと生前に決めておくことです。
いかがでしょうか?
自社株相続対策については、
税金面及び法律面を踏まえた
総合的な対策が必要となってきます。
なので、常に、
顧問の税理士と密に相談する必要があります。
また、必要に応じて、
民法及び会社法の専門家である
司法書士の廣森も同席の上相談に応じますので、
ご要望の際は、いつでもお申しつけ下さい。