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家族信託相続・遺言成年後見
終活としての法的な備えはお早めに
高齢化社会である日本では、いわゆる終活対策を考えておられる方も多くいらっしゃるかと思いますが、長寿国でもある日本では、相続のことだけではなく、認知症などにより判断能力が低下した場合のことも考える必要があります。
その手段としては様々あり、法的な手段に限ったとしましても、遺言、成年後見、家族信託など色々な言葉が飛び交い、違いがよく分からず結局自分はどれを選べばいいのか迷ってしまい考えることが億劫になることもあるのではないでしょうか。
そこで、今回は、これら終活に際し事前の備えとして取り得る法的な手段について、以下整理して概要をお伝えさせて頂きたいと思います。
1.判断能力が低下したときへの備え
① 生活全般のサポートに有効な手段―任意後見
任意後見制度とは、判断能力が低下し、医療・介護に関する契約や財産管理などを自身ですることが困難になった場合に備えて、判断能力が低下したときに代理人になってほしいと思う人と予め契約を締結しておき、判断能力が低下したときに、家庭裁判所による間接的な監督のもと、その人に代理人として生活全般をサポートしてもらう制度です。
後見人を指定できるのが任意後見制度のメリットですが、任意後見人には取消権がないため財産の保全にはやや向かない点に注意が必要です。
② 財産の保全と柔軟な財産活用に有効な手段―信託
信託とは、家族や信託会社などに金銭や不動産など特定の財産を託し、託した目的に適うようにその財産の管理、運用、処分等を任せる方法のことをいいます。
財産の所有名義を受託者(財産を託された人や法人)に移すため、判断能力が低下した本人の財産が詐欺などの被害に遭い失われることを防止することができます。
また、財産管理を主な目的とする後見制度と異なり、信託目的に適う範囲であれば、財産を積極的に運用するなど受託者の判断により柔軟に財産を活用することもできます。
ただし、本人の身上監護など信託した財産以外のことは対象外ですので万能ではありません。
2.相続が開始した後への備え
① 遺産承継に有効な手段―遺言
主に、遺産の分け方を事前に指定しておくために使用することができます。
信託を活用する場合、信託する財産以外については遺言で承継方法を定めることが一般的です。
② 柔軟かつ永続性のある遺産承継に有効な手段―信託
例えば、障害のある子をもつ親の方など、遺産を直接承継させるだけでは対策として不十分な場合に、上記のように特定の財産を信託し、信託財産から一定額を継続して対象者に支給してもらうようにしておくなど、柔軟かつ永続性のある遺産承継をしたい場合などに活用することができます。
③ 遺産承継以外の各種対応に有効な手段―死後事務委任契約
遺体の引取、葬儀、納骨、残置物の処理、未払の医療費の支払など、相続開始後にも様々な対応が必要となります。
これらについて対応してもらえる家族などがいない場合に、事前に契約で第三者に任せることができ、この契約を死後事務委任契約といいます。
いかがでしたでしょうか。
上記のような手段を選択できるのは、あくまで制度を理解し、選択できる判断能力が十分にあることが大前提です。
そのため、そのような判断能力を失った後では、事前の備えは叶わず、法定後見制度(家庭裁判所が選任した後見人によるサポート)しか選択肢がないことになります。
健康で元気なときに認知症になった場合のことや相続のことを真剣に考えることは難しいことですが、なってからでは遅いということをご理解頂き、早めの対策が大切であることを認識しておいて頂けますと幸いです。