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家族信託において、第二受託者を未成年者とした場合~家族信託の谷間の事例 前回の続き~ 

1.家族信託において、第二受託者を未成年者とした場合

 

 

 

前回の続き

 

 

 

当初受託者が成年者で

第二受託者が未成年者の場合、

家族信託の契約はどうなるのか?

 

 

 

思うに、

家族信託自体は無効になりません。

 

 

 

ここでは、あえて難しい法律論は避けますが、

「一般の方でもなんとなくわかるのではないか」

と思います。

 

 

 

普通に考えて、

もし、第二受託者を未成年者とした家族信託の契約と

第二受託者を決めていない家族信託の契約の差は

あるのでしょうか?

 

 

 

第二受託者を決めるのが実務ですが、

第二受託者を決めない家族信託も

普通に存在します。

 

 

 

 

そして、

どちらの家族信託の契約も、

いざ契約が発効したら、

当初の受託者が一生懸命家族信託の事務をする点で

共に共通しております。

 

 

 

 

なので、

第二受託者を決めていない家族信託は有効で、

第二受託者を未成年者とした家族信託を無効にするのは、

少しバランスが悪いように思えます。

 

 

 

 

そこで、

私は第二受託者を未成年者とする家族信託契約は、

当初受託者が死亡した時点で

第二受託者が何歳であるかによって、

処理が変わってくるのでないかと考えます。

 

 

 

 

2.当初受託者が死亡した時、第二受託者が満19歳を超えている

 

 

 

 

当初受託者が死亡した時、

第二受託者が満19歳を超えている場合、

その第二受託者は受託者になれるのか?

 

 

 

死亡した時は、

19歳なのですぐにはなれません。

 

 

 

となると、

受託者不在の状態になります。

 

 

 

 

受託者不在の場合はどうなるのか?

 

 

 

 

それは、

信託法第163条3号により、

「受託者の不存在が1年間継続すると信託は終了」

してしまいます。

 

 

 

 

しかし、本事例の場合だと、

当初受託者が死亡した時、

第二受託者は19歳を超えているから、

当初受託者が死亡してから1年以内に

第二受託者は満20歳を超えることになります。

 

 

 

 

となると、

信託が終了する前に第二受託者が満20歳を超えて

晴れて受託者になることができ、

「受託者不存在が1年間継続するリスク」

を避けることができます。

 

 

 

 

3.当初受託者が死亡した時、第二受託者が満19歳以下の場合

 

 

 

 

当初受託者が死亡した時、

第二受託者が満19歳以下の場合、

その第二受託者は受託者になれるのか?

 

 

 

 

死亡した時は、

19歳以下なのですぐにはなれません。

 

 

 

 

さらに、

当初受託者が死亡して1年経過しても、

第二受託者は満20歳以下となります。

 

 

 

 

つまり、

この事例だと当初受託者が死亡した時から

受託者不存在が1年間経過してしまうことになるので、

信託が終了してしまうということになります。

 

 

 

 

4.信託契約書の文言はどうなるのか?

 

 

 

 

信託契約書には、

受託者が死亡した時に備えて、

普通以下のような文言をいれます。

 

 

 

 

「受託者が信託法第56条第1項各号(ex 死亡)に掲げる事由に該当したとき は、受託者の任務が終了し、〇〇を第二受託者として指定し、当初受託者の地位を承継させる」

 

 

 

 

以上のような文言です。

 

 

 

 

なので、

第二受託者が未成年だけど、

受託者が死亡した時に、

受託者が満19歳を超えている場合は、

以下のようになると思います。

 

 

 

 

「前項各号のいずれかの事由が生じた場合において、前記〇〇が満年齢19歳を超えている場合は、前記〇〇が満年齢20歳に達したときをもって、前項を適用する。」

 

 

 

 

こんな感じでしょうか?

 

 

 

 

5.総括

 

 

 

 

今回、色々な専門書籍にあたりましたが、

全くどこにも書いていませんでした。

 

 

 

そして、

グーグルで調べても全くヒットしませんでした。

 

 

 

 

つまり、

家族信託の谷間の事例です。

 

 

 

 

こういう谷間の事例を

条文や条文の趣旨から

自分の言葉で「言語化」したうえで発信することが

自分自身を家族信託のプロとして高めるのに、

非常に大事なことだと思っています。

 

 

 

 

皆さんにも、周りにいませんか?

 

 

 

 

仕事が出来て、

部下に仕事を教えるのもうまい人って、

『何ごとも「言語化」することが上手』

だと思いませんか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは知っておいて欲しい記事です。是非お読みください。