ブログ

カテゴリー

家族信託(民事信託)が普及しない本当の理由!?

私が定期購読している

「家族信託実務ガイド 第17号」が

3月末に私の事務所に送られてきました。

 

 

KIMG0608

 

表題を見ると

「登記の現場からみた民事信託」

「民事信託サミット」が開催

「有価証券でも家族信託できる」

というコンテンツです。

 

 

 

 

結構、最新の情報ですが、

大体、情報的に2~3ヶ月遅れの情報という感じです。

 

 

 

 

まあ、年に4回発行ということで、

「どうしても取れたてホヤホヤの情報」

というわけではありません。

 

 

 

 

今回は、私が出席予定だった

「民事信託サミット」の記事が掲載されていたので、

この点について書いていきたいと思います。

 

 

 

 

なお、

なぜ欠席したかというと

新型コロナで新幹線に乗って東京に行くのはどうか

と躊躇したためです。

 

 

 

 

1.民事信託がなぜ普及しないのか?

 

 

 

 

このサミットには、

民事信託に関する5つの社団法人の代表者が

出席していました。

 

 

 

 

皆さん、専門書籍を出版されている

そうそうたるメンバーです。

 

 

 

そして、この素晴らしい代表者たちの

パネルディスカッションがメインの会議ですが、

やはり、一番の話題はズバリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「民事信託がなぜ普及しないのか?」

という点です。

 

 

 

そこで、

パネリストのメンバーがあげた

大体の理由をあげると

以下のとおりとなります。

 

 

 

後見を熱心にやられている専門家(司法書士が多い)の抵抗

専門家の無知

専門家の意識の問題

民事信託の実務が固まっていない

士業以外のプロの無知

 

 

 

こんな感じでしょうか?

 

 

 

 

そこで、上記のについて

私自身の考えを話していきたいと思います。

 

 

 

 

2 後見を熱心にやられている専門家(司法書士が多い)の抵抗

 

 

 

 

これを見て、皆さんどう思われますか

 

 

 

 

少し、失笑気味ですよね・・・。

 

 

 

 

ではなぜ、

「後見を熱心にやられている専門家が抵抗するのか?」

 

 

 

 

そこで

パネリストはその理由を

「専門家の家族信託の勉強不足」

「専門家の家族信託の無知」

という点にあるから、

勉強する機会等を積極的に設けようという

内容のお話でした。

 

 

 

 

確かに、これって

半分正解で半分間違いだと思ってます。

 

 

 

 

そこで、

司法書士業16年の私が

ズバリ切り込んだ本当の理由をあげる

以下のとおりです。

 

 

 

 

 

「自分たちの仕事が無くなる恐怖感」

「自分たちの価値観を否定される絶望感」

から必死に抵抗するのです

 

 

 

 

実は、この点については、

きちんと歴史が証明しております。

 

 

 

 

その点について、

以下のとおり、深堀していきます。

 

 

 

 

3 家族信託(民事信託)という新しい制度が普及すると

 

 

 

 

ここで、

「成年後見制度=古い制度(価値観)」

「家族信託(民事信託)=新しい制度(価値観)」

という風にまずは定義したうえで、

以下のとおり話していきます。

 

 

 

 

家族信託(民事信託)が普及すると

成年後見を利用する人は

間違いなく減ることになります。

 

 

 

 

となると、

成年後見に熱心な(むしろ、「しかやっていない」)

専門家(司法書士が多い)からするとどうなるか?

 

 

 

 

そうです

 

 

 

 

「自分たちの売り上げが減る

ことになってしまうのです

 

 

 

 

これについては、

皆さんも異論はないものと思います。

 

 

 

 

4 時代の変化を歴史上の出来事に当てはめてみると

 

 

 

 

成年後見制度が普及し始めた

平成13年から平成14年当時、

それはそれで、本当に画期的な出来事でした。

 

 

 

 

私もこれで認知症になられた方の

「権利擁護」や「財産管理」

に非常に役に立つと確信したものです。

 

 

 

 

その後、

成年後見制度の欠陥が判明するようになりましたが、

信託法が改正されるまで、

その時点においては、

成年後見制度は、唯一の「権利擁護」「財産管理手法」

だったのです。

 

 

 

 

そして、

信託法が改正されて

平成26年頃から家族信託(民事信託)の手法が

クローズアップされてきました。

 

 

 

 

その時、私は、

「全身の血が逆流する位の衝撃と感動」

を受けたのを覚えています。

私のHPのトップページを参照

 

 

 

 

つまり、私の頭の中で

「古い価値観から新しい価値観」

に上書きされたからです。

 

 

 

 

恐らく、その時の感覚は、

「人力から蒸気機関に取って代った産業革命」

「侍が刀を振りましていた江戸末期の黒船来航から明治維新」

「ガラケーの中、ジョブズ開発のiPhoneの出現」

以上のようなものです!

(決してオーバーではない

 

 

 

 

つまり、上記の歴史上の出来事は、

「古い価値観を新しい価値観が塗り替える」

「新しい価値観の出現により、古い価値観が否定される」

というドラスティックな変化です。

 

 

 

 

ここで、

新しい価値観をすんなりと受け入れる事が出来ればいいのですが、

新しい価値観を受け入れることが出来ずに

古い価値観に拘り続ける人も

少なからず存在するものです。

 

 

 

 

 

そして、

歴史が証明しているとおり、

新しい価値観を受け入れることが出来ずに

古い価値観に拘り続ける人は

遅かれ早かれ消滅していく運命をたどります。

(明治維新後の侍や今のガラケー)

 

 

 

 

 

また、

古い価値観に拘り続ける人は、

消滅する間際に躍起になって抵抗するという

傾向があるということです。

 

 

 

 

 

明治維新の例をあげると、

鳥羽伏見の戦いに敗れた

旧幕府軍みたいなものですよね。

 

 

 

 

 

5 時代の変化に対応できない古い価値観に拘り続ける人の末路

 

 

 

 

私は成年後見制度から

家族信託(民事信託)という時代に変化したことを察知し

信託法の研究につぐ研究をして

比較的早い段階で家族信託(民事信託)を依頼者の方に

提案していきました。

 

 

 

 

 

さらに、

家族信託(民事信託)を組成するのが初めてという若手と

共同で受託したうえで、

若手に対して私の家族信託(民事信託)のノウハウを

惜しみなく提供しております。

 

 

 

 

なぜ、そのようにするのか?

 

 

 

 

それは、

これからは、

家族信託(民事信託)が新しい価値観になるから

自分なりに懸命に適合するように努力しているのです。

 

 

 

 

また、

若手の目を摘むような

「古臭くて嫌なおっさん」や「老害」

になりたくないという(今年で49歳)自分のポリシーから

そのような行動に突き動かされているのだと思います。

 

 

 

 

一方で、

家族信託(民事信託)という新しい価値観を拒絶し、

成年後見制度という古い価値観に拘る人は

どなるのでしょう?

 

 

 

 

先ほども述べましたが、

前述のように、鳥羽伏見の戦いに敗れた旧幕府軍のように

必死に抵抗するのです。

 

 

 

 

 

つまり、

「家族信託(民事信託)を普及してなるものか」という風に

悲しいかな必死になって抵抗してしまうのです。

 

 

 

 

そして、最終的に

権利擁護、財産管理という実務界から

去っていくことになります。

 

 

 

 

6 まとめ

 

 

 

 

さて、最近、

「ライフシフト」という書籍がベストセラーになり、

人生100年時代という言葉が普通になってきました。

 

 

 

 

人生100年時代になると、

学び直して全く別のキャリアに行くことも

当たり前になってきます。

 

 

 

 

ここで、「学び直すなんてもう遅い」

と言い訳をしたくなりますが、

人生100年もあると考えると

「学びなおすのに遅すぎるということはない」

ということになります。

 

 

 

 

実は、

後見を熱心にやられている専門家は

「人一倍人々の権利擁護の精神が強い人」

だと私は思っています。(本当です

 

 

 

 

なので、後見を熱心にやられている専門家は

その精神をもってすれば、

家族信託の素晴らしさを十分に理解できると思うし、

それにより更なる人々の権利擁護に資する

私は確信しております。

 

 

 

 

それでは、最後に、

私が尊敬する信託法の第一人者

故四宮先生の言葉で締めくくりたいと思います。

 

 

 

 

信託はその目的が不法や不能でない限り、

どの様な目的のためにも設定される事が可能である。

 

 

 

したがって、信託の事例は無数にありうるわけで、

それを制限するものがあるとしたら、

それは法律家や実務家の想像力の欠如にほかならない。

 

(四宮和夫1989「信託法新版」有斐閣)

これは知っておいて欲しい記事です。是非お読みください。