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相続・遺言
お盆恒例の相続にまつわるお話
皆さん、こんにちは。
本日は、私の専門分野の
相続手続にまつわるお話です。
さて、
相続手続をする上で、欠かせないのが
「お亡くなりになられた方(以下、「被相続人」という。)
の出生から死亡までの戸籍等」の収集です。
戸籍の収集をすると、
色々なドラマが垣間見ることが出来ます。
そこで、具体例をあげると、以下のとおりです。
1 私の経験上の具体例
(1)「お亡くなりになられた方のお爺さんが安政生まれ」
歴史上の大事件である「安政の大獄」を
どの様に受け止められたのか?
(2)大正時代に生まれた長男、二男、三男が
皆、生後1週間で亡くなっている
家族の筆舌に尽くしがたい悲しみが容易に想像でき、
「今の医学なら生きれたのに」という
どうしようもない無力感に苛まれる。
(3)レイテ島沖、ガダルカナル島沖で戦死という記載
特攻隊の方だったのか?
この人たちが今の日本の礎を築いたのは紛れもない事実であり、
畏敬の念に包まれる。
(4)昭和初期に離婚した女性で、
後に結婚せず、一人で子供を育て上げた女性
壮絶な人生を歩みながら
母子ともに逞しく生き抜き、
日本の高度経済成長を支えたに違いないと
想像してしまう。
他にも、色々ありますが、
上記のようなドラマがあり、
色々な想像を私は張り巡らせてしまうのです。
2 なぜ、相続手続で被相続人の戸籍を収集するのか
被相続人の相続人となる方を
確定するために収集します。
つまり、
相続人となる配偶者とその子供を特定し、
その人たちから相続関係書類に
署名捺印を頂くことになります。
ちなみに、一人でも
相続関係書類に署名捺印をしてもらえない相続人がいると、
相続手続が出来ないことになり、
これが、いわゆる「争続」と言います。
3 思いもよらない相続人が出てくることも
被相続人の戸籍を出生までたどると、
色々な身分行為が記載されています。
その中で
結婚せずに生まれた子供を認知したという記載があると、
その子供は相続する権利を持ち、
その人も交えて相続手続をしなければいけません。
また、
離婚した配偶者との間で生まれた子供も
相続人となります。
被相続人が生前に
「私には認知した子供がいる」
「私には前妻との間の子どもがいる」
と家族に打ち明けていたら、
ある程度、心の準備が出来るのですが、
何らかの事情で、打ち明けない被相続人もまれにいらっしゃいます。
ちなみに、
離婚をした人は離婚した事実(いわゆる戸籍に「バツ(×)が記載される」)、
認知をした人は認知した事実が
戸籍に記載されますが、
本籍地を変えると離婚や認知をした事実は
変更後の戸籍に記載されません。
なので、
頻繁に本籍地を変えている被相続人の戸籍を集めるとき、
専門家として少し不安を覚える時があります。
4 相続不動産を売却する際は、
相続人確定後、相続登記終了後にすべき
相続登記をしない段階で、
被相続人所有の不動産を
まずは相続人の方の一人が代表して
売買契約を締結することがあります。
そして、契約の特約に
「最終売買代金決済引渡までに
売主は責任をもって相続登記を完了する」
という文言を入れているのが通常です。
しかし、これでは仮に思いもよらぬ相続人が発覚し、
その人が相続登記に協力しないとなると、
売買契約をした不動産を
買主に引渡すことが出来ないことになります。
そうすると、
売主側の契約違反となり、
売主は買主に対して
売買代金2割相当の違約金を支払うことになってしまいます。
仮に、
優遇税制を受けるために契約を急がなければいけないと時は、
特約として
「現在把握している相続人の他に、
新たに相続人が存在する事が判明し、
相続人間で遺産分割協議が調わず、
相続登記が完了出来ない場合は、
本件契約は白紙解約できるものとする」
と取り決めておけば大丈夫でしょう。