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不動産取引
新中間省略登記とは
本日は、新中間省略登記についてお話します。
1 安く仕入れて、高く売ることが商売の基本
不動産を安く仕入れて、
その不動産を仕入れ価格よりも高値で転売するとします。
そこで、具体的な所有権の移転の流れは、以下のとおりとなります。
A(当初売主) ⇒ B(中間者) ⇒ C(最終的買主)
なお、以下のコラムを理解するために、
ここで「A→B→C」の公式を頭に入れておいて下さい。
さて、上記の所有権移転の流れを、忠実に登記手続に反映させると、
以下のとおりとなります。
・ 当初Aにあった所有権の登記をBに移転する登記手続
・ 次にBの所有権の登記をCに移転する登記手続
つまり、2つの登記手続が必要になります。
となると、登記手続が2つあるので、
司法書士に支払う登記費用及び登録免許税が2回必要になります。
しかし、Aの所有権の登記が結局最終的にCに行くのであれば、
中間者Bの所有権の登記をすっ飛ばして、
AからCへ直接所有権移転の登記をすれば済む話となります。
となれば、
司法書士に支払う登記費用及び登録免許税は1回ですむことになり、
経費節減に大いに役に立ちます。
2 旧中間省略登記
そこで、
以前は前記 A ⇒ B ⇒ C へと不動産の所有権が移転する場合、
Aから直接Cへと登記をする旧中間省略登記が行われていました。
しかし、平成17年に不動産登記法が改正され、
所有権の移転の経緯を忠実に反映した「登記原因証明情報」という書面を
登記手続に添付しなければならないように改正され、
旧中間省略登記は不可能となりました。
3 不動産業界に激震が走る?!
ここで、困るのが不動産の転売を生業とする不動産会社です。
なぜなら、
一度、転売業者(中間者B)に所有権の登記を経ないといけないため、
今まで1回で済む手続が2回必要になってしまい、
余計な経費(司法書士費用及び登録免許税)がかかるようになってしまったからです。
ちなみに、
評価1億円の土地の所有権の登記をするのに必要な登録免許税は、
150万円になります。
4 新中間省略登記を開発
そこで、以下のように新中間省略登記という手法が開発されました。
ⅰ)AB間の売買契約
BはAから不動産を買い、BはAに売買代金を支払いますが、
Bは「所有権は要りません。その代わり、所有権はCに渡して下さい」
という内容を契約に盛り込みます。
ⅱ)BC間の売買契約
BはCに不動産を売るが、
「所有権はAから直接貰って下さい。ただ、売買代金はAではなく、私(B)に支払って下さい」
という内容を契約に盛り込みます。
まず、ここで中間者BがAから不動産を買っているのに、
Bは所有権を取得しないという特殊な関係がポイントになります。
このような手法を民法上、「第三者のためにする契約」と言います。
5 中間者Bに所有権が帰属しないことによる副産物
旧中間省略登記のときは、A ⇒ B ⇒ Cと所有権移転の経緯があるため、
中間者Bは一度、不動産の所有権を取得しているので不動産取得税が課税されます。
しかし、新中間省略登記を利用すると、
中間者Bは一度も不動産の所有権を取得しないため、
不動産取得税が課税されないことになります。
ちなみに、1億円の評価の土地だと
150万円の不動産取得税の節税が可能となります
(前記3の登録免許税を加えると、300万円の節税効果)。
6 総括
新中間省略登記は、それを仕切る司法書士の経験と力量が必要となります。
もし、新中間省略登記のご用命があれば、
元不動産営業マン出身司法書士の廣森(0120-86-3066)までご連絡下さい。