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なるほど法律コラム
「スシロー6700万円提訴」から見る私の所感
皆さん!こんにちは!😊
さて、本日は表題の件について、
お話していきたいと思います。
1 果たして6700万円もの損害が発生したのか?
今回のスシローが主張する6700万円の損害額は、
スシローが証明しなければいけません。
そして、
醤油差しを舐めた少年(以下、「少年」と言う。)の行為と
スシローに生じた損害発生の因果関係も
証明しなければなりません。
今回、スシローが主張する損害の内訳の一部をあげると
① 株価が下落し、1日で約160億円の価値が失われた。
② 全国で客が激減したことで利益が失われた。
③ 衛生管理の信用が損なわれた。
④ しょうゆボトルを入れ替えた費用が掛かった。
等と主張しています。
(訴状を見ていないので、ニュース等を参照)
とすると、
上記①~④の損害と少年の行為との因果関係を
スシローが証明しなければいけませんが、
①~③の証明については
非常に困難といえるでしょう。😟
なぜなら、
①については、
日本だけでなく世界のお金の動きで上げ下げするため、
何が原因で株価が下落するなんてことは、
到底、証明が不可能だからです。
②については、
競合他社の企業努力で、
自身の売り上げが下がることもあるので、
一概に少年の行為が原因で売上が下がったとは、
到底、言えないからです。
③については、
不特定多数のお客が来る大規模な飲食店においては、
イタズラ防止策等の衛生管理対策を施すことは必須であるのに対し、
スシローはそれをしていなかったので、
潜在的にはらんでいた問題が、単に現実化しただけである
と見てとることが出来ます。
となれば、認められるのは上記④くらいで、
後は、被害を受けた店全体の消毒費用と
その間の休業損害位(2~300万程度か?!)
であると思われます。
2 少し行き過ぎでは!?
スシローが訴訟を起こすことは、
憲法上、「裁判を受ける権利」として保障されていますが、
そうだとしても、
きちんとした事実と法律の根拠が必要であり、
それが無い場合の訴訟は、ある種、
見せしめ、報復措置として訴訟をすることになります。
となると、このような訴訟は
裁判制度の趣旨目的に照らして、著しく相当性を欠き、
スシローの訴訟は
逆に少年に対する不法行為と評価される可能性があります
(最高裁昭和63年1月26日判決参照)。
3 目には目を歯には歯を?!
「目には目を歯には歯を」は、
ハンムラビ法典に由来していますが、
普通に読むと、目を潰されたり、歯を折られたりと
非常に残酷なイメージです。💦
しかし、ハンムラビ法典は
現在の放置国家の基礎を作り上げたと言われており、
「目には目を歯には歯を」とは、
「罪と罰は釣り合わないといけない」という解釈です。
つまり、現在の日本の刑法でいうというところの
「罪刑均衡の原則」です。
4 私の所感
今回、少年とその家族は
金銭的、精神的、社会的にも甚大なダメージを被り、
彼らが人生を棒に振ることは火を見るより明らかです。
確かに、少年の行為は非難されるべきですが、
果たして、
上記のような仕打ちを受けるほどのことなのでしょうか?
つまり、
罪と罰は釣り合いが取れているのでしょうか?
そして、少年とこの家族は
もうすでに十分過ぎるほどの
社会的制裁を受けているのではないでしょうか?
一方で、今回の少年の行為があったとしても、
そんなことには関係なく、
美味しさとリーズナブルなスシローや回転寿司に皆さんも足を運び、
「やっぱりスシロー最高!」
「日本の回転寿司最高!」
と改めて思ったのではないでしょうか?
不法行為、罪刑均衡の原則さえ
スシロー、ひいては、世の中の人が理解していれば、
もう少し適切な、
この少年に対する罰の落としどころがあったのではないかと
シミジミと思う、今日この頃です。