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不動産取引
人気ドラマ『地面師たち』にプロがツッコむ?! その2
今回は、前回に引き続き、
最近ネットフリックスで人気のドラマ「地面師たち」について、
プロの司法書士がツッコミを入れて行きます!🙂🚨
(ネタばれにならない程度に)。🙊
1 最大のターゲットとなった土地
ドラマでは、お寺に隣接する3000㎡の土地がターゲットになっていましたが、
この土地がお寺の敷地ではなく、
住職の女性僧侶が個人的に所有していることとなっておりました。
この設定にツッコませて頂きます。🧐🚨
女性僧侶が非常にお金持ちとはいえ、
都内一等地の約3000㎡超の土地の固定資産税は非常に高額であるため、
かなりの税負担になると思われます。💰
つまり、女性僧侶がホストに貢ぐため数千万円のお金を工面するには、💰
普通に固定資産税等の税金を払っているようでは、到底追いつかないので、
女性僧侶はほぼ確実に何らかの税金対策をしているといえます。💡
ちなみに、宗教法人は境内地(宗教活動の用に供されている土地)であれば、
固定資産税は課税されません。🆓🆓
そして、お寺に隣接する土地は、
信者さんが参拝をするための駐車場として最適なので、
境内地に認定されやすいということになります。🅿️🚗
つまり、女性僧侶はホストに貢ぐお金を捻出するためには、
お寺に隣接している駐車場をほぼ確実に境内地にしているはずです。❗
とすれば、
ターゲットの土地が宗教法人の所有でないという設定は、
現実的にあり得ないと言えます。❗
そこで、私はこの設定はあり得ないと
「最もstrongly(ストロングリー・強く)で、
最もclearly(クリアリー・ハッキリと)で、
そして最もloudly(ラウドリー・大声で)に
突っ込まさせて頂きました(笑)。(←ハリソン山中風)
なお、宗教法人の境内地を売るには
法律上、厳格な要件が必要となるので、
地面師が境内地をターゲットすると、
確実に途中で詐欺であることが判明し、全員警察に捕まることになるでしょう。🚓👮🏻♂️
とはいえ、
色欲に溺れた女性僧侶という設定が、劇画的に面白いということで、
この様な設定になったものと思われます。😉
2 司法書士として思うこと
不動産を購入する買主が
地面師から条件の良い土地を提示され、
目先の利益をチラつかせつつ、
色々な理由を付けては中々契約にたどり着かせないように、焦らしに焦らして、
買主の冷静な判断力を失わせて、
見事に詐欺に引っ掛かるという点が今回のドラマの設定です。
冷静になれば、「これは詐欺かも知れない」と疑い、
不確定要素があるということで
不動産の購入を見送るという判断をするべきなのに、
それが出来ないという人間の弱い部分に抜群の焦点が当てられています。
不動産業界に関わらず、他の業界でも、
目先の利益のためダメだと分かりつつ、
データ改ざん等の不正に手を染めるニュースを挙げると枚挙に暇がありません。
そこで、これはダメだと言える勇気、
今回のドラマであれば
「この不動産の取引は不確定要素があるため決済出来ませんと
強く登記手続きを断る勇気」が司法書士には無かったと言えます。
確かに、司法書士として
登記手続きの依頼が来る不動産会社自社の利益のために、
何とかこの土地を手に入れたいという気持ちを汲んであげたい
ことは本当によく分かります。
しかし、数十億を超える不動産の購入において
リスクが全て解決されていない不動産取引に
取引先の会社の気持ちを汲んで、やむなく登記手続きをするのは、
司法書士として失格の烙印を押されても文句はいえません。
今回のドラマは司法書士業界及び不動産業界に限らず、
色々な業界に警鐘を鳴らすドラマとして
本当に最高のドラマであったといえます。🫡✨✨