ブログ
カテゴリー
不動産取引
人気ドラマ「地面師たち」、司法書士として共感できるところ
今回は表記タイトルについて、お話していきたいと思います。
1 なりすましの人が司法書士の本人確認の質問にたどたどしく答えるところ
最近では、高齢化社会ゆえに
売主が高齢の方の不動産取引が激増しています。👴🏻👵🏻
そして、司法書士は本人確認の質問で
名前・年齢・生年月日・干支等を聞くことになります。
そこで、
高齢の方が自分の年齢を間違えるとプロはホッとすると思いますか❓
それともドキッとすると思いますか❓
司法書士は、ドキッとするよりも、むしろ少しホッとします。😌
なぜなら、あまりにも流暢にハキハキと答えられると
「なりすましのために、必死に練習してリハーサルをしたのではないか」
と司法書士は逆に不自然と勘ぐってしまうからです。🤔
実は、年配の方においては、年齢を忘れることなんて当たり前ですし
(45歳のうちの妻も忘れている)、
他の質問にきちんと答えられ、その内容に合理性があれば
本人確認としては目的を達成できるわけです。🆗👌🏻
つまり、司法書士は見た目、答え方、声のトーン等を
「年相応か否か」を相当注意深く観察しております。🧐
とはいえ、最近「美魔女」という言葉があるように、
見た目30歳代で実年齢60代の女性の方が来たらどうするかが
最近の私の課題です(笑)。
この場合は、60歳代が絶対にわかる話題、
つまり「キャンディーズの3人の名前は?」と聞いて
答えられると60歳代の推定が働くことになります(笑)。
2 書類の質感のこだわり
ドラマは実在の司法書士が監修しており、
その人が特にこだわったのは、書類の質感だそうです。📃
ドラマは平成29年当時を設定しているので、
印鑑証明書や住民票等も当時のものを必死で調達したそうです。
ちなみに、登記に必要な書類で紙ベースの権利証書というものがあります。
そして、司法書士は不動産取引の際、
それがいつ作られたのかというのも入念にチェックしています。🧐
例えば、昭和の代に作成された権利証書は、
時の経過のため紙質が相当劣化しています。📜
そこで、精巧なカラーコピーで明らかに本物に近づけていても、
紙質があまり劣化していなかったら、
明らかに権利証書は偽造されたものと判断出来ます。⚠️
3 ピエール瀧の「もうええでしょうー!」
ドラマではピエール瀧は「法律屋」という役目で登場し、
前職は司法書士という設定です。
巧みな関西弁で捲くし立てて、
はやりの言葉にもなっている「もうええでしょうー!」と言って、
関係者を急かしていきます。💦
ここで、なぜ「急かす」のかというと、
時間をかけられると詐欺とバレる可能性が高まるからです。💦
ちなみに、皆さんも
マイホーム購入を決断する際、不動産営業マンから決断を急かされて、
直接「もうええでしょうー!」と言われることはありません。
しかし、
言葉を変えて同じ様な内容を言われていることに気付かないといけません。⚠️
それは、
「今ご決断しないと2番手のお客様(実際にはいない)に物件をご紹介します」
等と言った、お決まりの煽り文句です。
こう言われた時は、皆さんもババを掴まされないように
「今冷静さを失っているか否か」を自分で見つめ直すことです。🤔
ちなみに、私は司法書士歴22年の53歳、
司法書士合格後、5年間の不動産営業経験があり、
地面師にはもってこいの人材なので、
ピエール瀧やハリソン山中から地面師のスカウトが来るかも知れません(笑)。
4 若手司法書士の人材不足に拍車?!
ドラマで出てくる司法書士の登記報酬は、
8億の取引で買主から請求出来て、
恐らくせいぜい20~40万円位だと思われます。
皆さんは、それくらいのお金で
大きなリスクを取らなければいけない司法書士になりたいですか?
ドラマのおかげで司法書士の知名度が上がって嬉しい反面、
司法書士を目指す若者が確実に減ったとシミジミ思う今日この頃です(笑)。