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司法書士廣森の事件簿 ~犯罪行為に加担するのか?!その2~

今回は前回の続きです。🙂❗

1 前回のおさらい

不動産決済引渡前に売主様が警察に勾留され、

物理的現実的に決済引渡が不可能になってしまったケースです。

また、本件不動産の取引において売主に

①売却代金を犯罪に使用

②逃走資金の確保

③罪証隠滅

④売主に組織的犯罪が疑われているかという点があれば、

司法書士は犯罪に加担することになり、本件不動産の取引をしてはいけません。

では、一体どうするのかという点が今回のお話となります。

2 売主についた弁護人との打ち合わせ

3 種明かし

(1)刑事訴訟法第80条及び同法81条

刑事訴訟法第80条には、

「被告人」は弁護人以外の人と「接見」し、

「書類」の「授受」をすることができると規定しています。

また、同法第81条には

「裁判所」は「逃亡」「罪証隠滅」の疑いに足りる「相当な理由」があるときは、

「検察官」又は裁判所の「職権」で

弁護人以外の人との「接見を禁じ」、授受すべき「書類を検閲」し、

その「授受を禁じ」たり、「差押」えることができると規定しています。

(2)結論

つまり、仮に、今回の不動産取引において、売主が

①売却代金を犯罪に使用

②逃走資金の確保

③罪証隠滅

④売主に組織的犯罪が疑われているのであれば、

裁判所は絶対に、私との接見を認めることはないということになります。

逆に、上記①から④のおそれがないと裁判所と検察官が認めたら、

裁判所は売主と私の接見を認めなければならないということになります。

以上を踏まえると、

私と売主の接見を認めるということは、

そのような意味で、今回の取引は全く問題の無い安全な取引であると言えます。

4 総括

今回は、

刑事訴訟法及び憲法上の要請である裁判所の犯罪抑止と

公共の利益に基づく国家権力の行使と

憲法上保障されている個人の経済的自由及び私有財産制が

真っ向と対立した事案です。

司法書士は国家権力の一役を担う法務省(法務局)の監督下にありますが、

時に、国民の自由を守るために、国家権力と対立する覚悟も必要であるといえます。

これは知っておいて欲しい記事です。是非お読みください。